« 新作リリースのお知らせです | メイン | 10周年 »

2009年07月04日(土)

Remember the time

18時少し前、横浜をあとにし、帰路。
車のエンジンをかけ、
バックミラーの上にある「PRESS」に指をかける。

エアコンの右下にあるスイッチを押す。
空が見え始める。
屋根を開けるのは一体何年ぶりだろう。
 

ハンドブレーキをおろし、
走り出すと同時にDangerousが始まる。
 

第三京浜に入りボリュームを上げる。
 
"Remember the time"
ちょうど法定速度で流れる程度の、心地よい混雑。
ここ何年も見ていなかった景色。
夏の空ではないような空。
まるで夏が終わって行くような空。
 

"smooth criminal"
大丈夫、私は生きてる。

"say say say"
"Billie Jean"
色んな思い出が蘇る。
 

第三京浜の料金を払うついでに窓も全開。
そこから200mほど先から渋滞、完全に停止。
夕日が綺麗。
 

右手でCDのボリュームを下げながら
左手をドアに乗せ、そっぽを向いてシャッターを押す。
一体どんな写真が撮れたんだろう。
 
  
"Rock with you"
出口を出て、一般道は更なる渋滞が続く。
いつもならイライラしたり、退屈したりするのに
今日はちっとも苦痛じゃない。
たくさんのものが見える。
全部が新鮮。
 
 

こんなにたくさんの物が見えるのに、
こんなに大きく空が見えるのに、
なぜ何年も屋根を開けなかったんだろう。
 

こんなに大好きだったのに、
なぜ気付かなかったんだろう。
体の隅々まで、すり込まれていたことに
2009年6月26日の朝、初めて知った。
 

なんで私、泣いているんだろう。
からだの真ん中に大きい風穴があいたみたい。
なにも出来ない。
なにも手に着かない。
 

目の前には、資料があって、書かなきゃならないのに。
 

ものを作ったり、表現する事を仕事としている者は
時に自分という私情を完全に捨てなければならないことがある。
 

どんなにどんなにどんなに辛いことがあっても、
私情は心の中にある特別な鞄に入れ、
私にしかあけられない鍵をかけて、
私は作詞家になり、書く。
 

なぜ涙が止まらないのか分からないまま3日が経ち、
やっとソレを鞄に入れ、書いた。
 

書き終わり、送ったあとまた泣いた。
 

なぜ泣けて泣けて仕方ないのか、
あとからあとからこみ上げて来るのか
その理由は、自分でも本当に分からない。
きっと明確な理由は一生分からないと思う。

 

あれから一週間。
今日の帰りは屋根全開でMJ祭りだと決めて
朝8時に家を出た。
 

今日の空。
夏の始まりに見た、夏の終わりのような空。
いつかきっと、今日の空を書くときが来るんだろう。
 

そしてまた心に鍵をかけて、今からまた別の歌を書く。
 
 
"You are not alone"
 

P1020640.JPG

投稿者 keiko : 2009年07月04日 23:00 [ photo ]